美容師のお二人と一緒に、日本デリケートケア協会の樋口さんを迎えて「フェムテック」を学ぶ本連載。第三回目は、PMS・月経についてトーク。多くの人が抱える悩みを、お二人の素朴な疑問を織り交ぜながら紐解きます。前編・中編・後編でお届け。<後編>
-生理が夜来る人は、要注意⁉︎
樋口さん:後半からは、読者からのお悩みや疑問にも答えていけたらと思います。
まずは「生理が始まる時間帯は、生活習慣で変化しますか?」という質問。
答えはYESですが、そもそも生理を開始させる役割は交感神経が担っているので、朝か昼が正常だと覚えていてほしいです。
関口さん:えぇ〜!そうなんですね。知らなかったです!
樋口さん:夜や寝ている間に生理になるのは、ホルモンのバランスが崩れているサインです。交感神経はいわゆるアクセルで、副交感神経がブレーキですね。
本来なら夜は副交感神経でブレーキをかけてリラックスするべき時間ですが、そこで生理がくるということは、交感神経が優位になっている証拠で、身体もうまく休めていないってことなんです。
ずっと続くようだったら、婦人科にかかることをおすすめします。
関口さん:これ、知らない人がとても多そうです。
甲斐さん:副交感神経を優位にするには、夜に湯船に浸かるのがいいと聞いたことがあります。
樋口さん:そうですね、とても大事です。夜に湯船に浸かると、オンとオフを切り替えるきっかけになります。あとは、なかなか難しいですが「夜に携帯を見ない」ことも効果的です。脳の覚醒を抑えてくれるので、睡眠の質もグッと上がります。
関口さん:私は寝る直前まで携帯を触ってしまいがちです。でもたしかに、ちゃんと寝ているのに夢を見ているせいで寝た気がしない……なんてことがよくあります。今日も寝坊する夢を見て飛び起きました!
身体が休まった気が全然しないんですよね。
樋口さん:脳が休まっていない状況ですね。自分のスイッチをオフするきっかけを作ってあげるといいかもしれません。寝るタイミングでアイマスクをつけるとか、お香を焚くとか、簡単なことでもいいんですよ。
-生理痛は当たり前だと思っていたけれど……
樋口さん:生理痛のお悩み相談を受けることが多く、生理のときは痛み物質というものがどうしても出てくるものなのですが、立てないほどであったり、薬が必要なほどの痛みは異常と捉えてもらったほうがいいです。
甲斐さん:そうなんですね。生理痛で薬を飲むのは普通のことだと思っていました。
樋口さん:生理の1日目〜2日目に、我慢できるぐらいの痛みがくるのはそこまで大きな問題ではないのですが、動けなくなってしまうようであれば何らかのケアを試みたほうがいいですね。
甲斐さん:もし、スタッフが営業中に生理痛で辛そうだった場合、まわりができるケアってどんなものがありますか?
樋口さん:痛みは冷えからくることが多いので、湯たんぽがおすすめです。
職場に1つ置いておいてあげて、お腹を温められるようにするといいかなと。
あとは温かい飲み物を差し入れてあげるとか。
それでも改善しない場合は、薬を飲んでいないようなら飲むように促すとか。薬も一概に悪ではないので、うまく活用してあげたいですね。
関口さん:温める場合は、どのあたりを温めるのが一番効果的ですか?
樋口さん:おへそから指4本分くらい下にある場所に、「関元(かんげん)」または「丹田(たんでん)」とも呼ばれるツボがあります。
性別に関わらず、内蔵の調子を司るツボなので、そこを温めてあげるのがいいでしょう。
-生理じゃないときでも生理痛のような痛みが……
樋口さん:排卵痛で悩んでいる人もとても多いです。
排卵日に起こる痛み自体は珍しいことではないのですが、不正出血を伴う場合は注意が必要です。
また、オリモノの色、ニオイ、質感に異変がある場合も同様です。
具体的には、色が緑や黄色っぽかったり、テクスチャーがカッテージチーズのようにボロボロした感じだったりする場合は、ウイルスに感染している可能性が高いんですよ。
あとは少し話がそれますが、生理が10日以上続くときも身体に異常があるサインです。
甲斐さん:健康な人だと、だいたい5日くらいですか?
樋口さん:そうですね、5日〜7日くらいです。8日目にかかるような人も、量が少なければ問題ないですね。ずっと2日目ほどの量が出続けてしまうのがよくないです。
甲斐さん:そうなんですね。この間、生理を題材にしたトーク番組を彼女と一緒にたまたま見たんですよ。
女性は生理の状態が一人一人違うという話題だったのですが、ゲストのタレントさんたちも「こんなに生理について話すことはない」「他人の生理について知る機会がない」とお互い言い合っていたので、女性同士でも知らないことって多いんだなと思いました。
関口さん:たしかに全然話さないかも。最近ようやく世間の風潮もあって話題に出しやすくなりましたけど、家庭によっては親子でもそういう話をしづらいとよく聞きます。
樋口さん:そうですね。イメージばかりが先行して、同性同士でも「何が普通で実際はどうなのか」をなかなか理解し合う機会が少ないかもしれません。
だからこそ、自分の身体を普段から気にしてあげることで、会話のきっかけが生まれたらいいですね。
【プロフィール】
樋口奈津子
BEAUTY SCANDALでは商品企画とMD全般を統括、日本デリケートケア協会 理事、インストラクターを務める。日本化粧品検定1級。
Instagram : @nh725
関口裕子
ママ美容師コミュニティ MAMABI PARK 園長、一般社団法人日本ママ美容師協会 代表理事。現役美容師であり2児の母。
Instagram : @yuko_mamabi
甲斐紀行
Lond Holdings 代表取締役。手がける国内外美容室事業は現在74店舗。人材育成、メンター教育、コーチングなどを担う。
Instagram : @kai_noriyuki