美容師のお二人と一緒に、日本デリケートケア協会の樋口さんを迎えて「フェムテック」を学ぶ本連載。第3回目は、PMS・月経についてトーク。多くの人が抱える悩みを、お二人の素朴な疑問を織り交ぜながら紐解きます。前編と後編でお届け。<前編>
紙ナプキンが身体によくないって本当?
関口さん:紙ナプキンが身体に良くないって噂を聞いたんですけど、本当ですか?
樋口さん:そうですね。経血で濡れた紙ナプキンは冷却シートと同じようなものなので、常にデリケートゾーンが冷えていることになります。
かつ、身体から排出したものをずっとつけていると、細菌も繁殖してしまうのです。
身体を温めるという意味では布ナプキンがベターですし、オーガニックコットンのものにするだけでも身体への負担が軽減されます。
関口さん:そうなんですね。安いからつい紙ナプキンを使いがちでした。
樋口さん:オーガニックコットンや布ナプキンは、紙ナプキンに比べて割高にはなりますが、自己投資や病気へのリスクを考えたら安いともいえます。
紙ナプキンも便利ではあるので、自分のライフスタイルや環境に合わせて、工夫して使い分けられたら一番いいですね。
甲斐さん:“膣を鍛える”というワードもここ数年で聞くことが増えた気がします。PMSや月経痛などに効果的なのでしょうか?
樋口さん:“膣トレ”ですね。お尻まわりや膣内の筋肉を鍛えることで、ホルモンの活性化を促すことができます。とくに日本ではセックスレスが問題になっているので、そういった環境では日々膣にほどよい刺激を与えてケアすることは大事です。
甲斐さん:夫婦が共働きだったり、子供が小さいと2人の時間を取るのが難しいですもんね。
樋口さん:はい。ホルモンの観点からすると、性交渉は週に一度が理想と言われていて。でもなかなか厳しいじゃないですか。セルフケアを習慣にしてあげると、自分の身体の状況をちゃんと知ることができるので、病気の早期発見にもつながるのでおすすめです。
軽いスキンシップや、好きなごはんを食べるだけでもOK
樋口さん:難しければ、子供やペットと戯れるとか、好きなごはんを食べるとかでもいいんですよ。要は、リラックスする時間をどれだけ持てるかということが重要なんです。目や脳が疲れていると、脳からホルモンを出す指令が衰えてしまいます。
そうなると生理不順やPMSの症状が出てきてしまいます。
本来の機能が働かず、身体がパニックを起こしている状態ですね。更年期も実は同じ仕組みで、加齢とともにホルモンが出なくなってくるので身体がパニックを起こし、症状を引き起こしてしまいます。
関口さん:思い当たる節しかないです……。
樋口さん:今の時代、女性って男性と同じように働いてる方がすごく多いし、かつ家事もこなして身体がフル稼働じゃないですか。脳がずっと覚醒している状態なので、交感神経と副交感神経のバランスも乱れやすいんです。
関口さん:なら私たちはどうしたらいいでしょうか? 助けてください、先生〜!
樋口さん:やっぱり毎日触れてあげたりと、意識することはすごく大事ですね。 もちろん、1日3食しっかり食べる、十分な睡眠をとる、っていうのは言わずとも当たり前なのですが、忙しいとなかなかできないじゃないですか。
ただ、週に1回はそういうケアの時間を一日5分でも作るとか、好きなことをするリラックスタイムを設けるとか。そういう少しの手間を自分にかけてあげるだけでだいぶ心身が変わってきます。
まずは不調を当たり前とは思わずに、できることから無理せず向き合ってあげることが大事です。
【プロフィール】
樋口奈津子
BEAUTY SCANDALでは商品企画とMD全般を統括、日本デリケートケア協会 理事、インストラクターを務める。日本化粧品検定1級。
Instagram : @nh725
関口裕子
ママ美容師コミュニティ MAMABI PARK 園長、一般社団法人日本ママ美容師協会 代表理事。現役美容師であり2児の母。
Instagram : @yuko_mamabi
甲斐紀行
Lond Holdings 代表取締役。手がける国内外美容室事業は現在74店舗。人材育成、メンター教育、コーチングなどを担う。
Instagram : @kai_noriyuki