美容業界で今、注目を集めている「クリーンビューティー」。
環境や健康に配慮した製品選びやサステナブルなアプローチが求められる中、実際に美容師やブランドがどのように取り入れているのかをインタビュー。クリーンビューティーが与える影響と未来の可能性に迫ります。
美容師から見るクリーンビューティーとは?
-美容業界でクリーンビューティーという概念が広がってきていますが、美容師から見てどう感じていますか?
そもそもヘア業界は、カラー剤やパーマ液などが薬剤なので、ケミカルな要素というのが多々存在している業界なんです。
スキンケアやコスメなどは、直接肌に触れるということもあり、よりクリーンビューティーが進んでいるかなと思うのですが、そこと比較をすると遅れをとってしまっていたのかもしれないという印象があります。
ただ、ここ最近になってヘア業界にもだいぶ広がってきている印象を受けていますね。
-ヘア業界でもクリーンビューティーの概念が広がっていることに関して、どのように感じていますか?
お客さまが家で使うようなホームケアアイテムにも、オーガニックなアイテムが増えていると思うので、そこから一般の方への認知が広がっているのかなというのを実感しています。
品質向上によって使いやすさもアップ
-お客さんや美容師さんたちの間では、どのように受け入れられている印象を持っていますか?
正直、そういった動きが出始めた10年前ぐらいは、クオリティ的な部分で少し使いづらいという印象を受けることが多かったのですが、ここ最近は品質部分もとても良くなってきているように感じています。
ブランドさん側でも、品質や使い勝手の部分に力を入れているんだろうというのをとても実感しています。
ブランド視点から見るクリーンビューティーとは?
クリーンビューティに関して、ブランド側視点からのお話を株式会社インナーセンスアジアの藤城いずみさんにお伺いしました。
-ブランドにとってクリーンビューティーの概念はどのように浸透してきてきましたか?
この20年、コスメ美容業界も大きく変わってきました。例えば2001年には化粧品の全成分表示が義務付けられたことがあげられます。
それ以前は、使う人によってアレルギー等の皮膚トラブルを起こす可能性のある102種類の成分を消費者へ注意を促す目的で表示され、それ以外の成分は表示していなかったのです。
2010年代にはオーガニックコスメの台頭があり、ますます商品の中身に意識が向けられました。
この2020年代は、商品への透明性を求めるのはすでに当たり前。化粧品の質や中身は、非常に大きく進化してきたと感じています。つまり、粗悪なものが少ない。どれも優秀で安全な成分でできていると思います。
そのような中で、これからはお客様が商品を手に取り使う動機は、誰が作っているのか?誰から買うのか?使うことで周囲も幸せになれるか?に価値基準をおくのではないでしょうか?
特に近年は、企業の姿勢や成り立ちに興味関心が高まっています。
-今後クリーンビューティーの概念はどのようなものになっていくと考えていますか?
クリーンビューティーとは、人にやさしく、地球環境に配慮し、透明性があるといったことがあげられますが、これはプロダクトだけの話しではなく、その企業の在り方やサロンの皆様、お客様との集合意識が、地球の未来を担っていく大きな波となっていく事こそが「クリーンビューティー」であると確信しています。
成分と使用感のバランスを取る難しさ
-実際にお店で取り入れているアイテムなどはあったりしますか?
販売商品として、天然成分が使用されていたり容器が再利用可能なアイテムを扱っていたり、お店のシャンプーでもオーガニックなアイテムなどを使用しています。
ただ、その反面でカラーやパーマ剤など、施術メニューで使用するアイテムは、やはり効果を求められる側面もあるので、まだまだ選択肢が少なくアイテムの採用が難しいなとも感じています。
-実際に店舗で取り扱う時の基準やこだわりはあったりますか?
直接肌につけるアイテムですと、積極的にクリーンビューティーなアイテムを採用しています。
その反面、直接お肌には触れないアイテムなどは、いくら天然成分を使用した良いものであっても、効果がイマイチだとお客さんに自信を持って紹介できない部分があるので、成分や使用感などバランスを見てセレクトすることが多いですね。
-実際にお客さんの反応はどうですか?
特に天然素材を使ったアイテムの"香り"がお気に入りという方が多いです。
今までのアイテムって、それこそ香水!みたいな香りが多かったのですが、天然素材のアイテムは、ナチュラルな香りがするアイテムが多く、そこを気に入ってくれるお客さんが多いなと思います。
生活に浸透するクリーンビューティーなアイテムたち
-美容師としてではなく、個人としてそのようなアイテムをどう感じていますか?
個人的に買い物でお店に行ってみて、オーガニックなアイテムが並んでいるとチェックしていますね。特に肌に直接触れるスキンケアアイテムは、そういったアイテムを積極的に選ぶようにしています。
今回、この企画のお話を頂いてから、自宅にあるアイテムをチェックしてみたのですが、意外とそういった取り組みをしているアイテムが多くあることに気づいて。やっぱり各ブランドさんたちは積極的にクリーンビューティーな取り組みを行っていて、世の中に広がっているんだなと実感しました。
-実際にお店に取り入れる時に課題や難しさは感じていますか?
やはりまだ100%クリーンビューティーなものはまだまだ少なくて。そのようなアイテムが良いという評価を受けている部分も事実としてありますので、使用感とのバランスが難しいなと感じています。
特にカラーなどの施術メニューで使うアイテムに関しては、従来のものと比べてカラバリが少なかったり、時間がかかってしまったり、価格が少し割高になってしまうという部分も正直あったりします。
-最後に今後クリーンビューティーの概念はどのようになっていくと思いますか?
今後は、よりブランドさん主導で進んでいくのかなと感じています。
特にヘアカラーの部分で、クリーンビューティーかつ、お客さんが望むようなカラーを叶えることが出来るカラー剤が登場すると一気に業界的にも発展するのかなと。
また、実際にそういった商品があるということを認知していないということも多々あるので、アイテムや施術に関して、美容師やサロン側からの発信も強めていくことが、より今後クリーンビューティーな概念が広がっていく為のきっかけにも繋がっていくと考えています。
【サロンインフォメーション】
BEAUTRIUM(ビュートリアム) 南青山店
〒107-0062 東京都港区南青山5-3-5 ミルロッシュビル2F
表参道駅 A5出口
Instagram : @beautrium_minamiaoyama
【プロフィール】
久住 桃子
「BEAUTRIUM」南青山店の店長を務める。ヘア、メイク、ファッションから、トータルバランスの良いヘアスタイル提案を得意としている。
Instagrm : @momoko_kusumi
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